暇ゆえにか。

2001年7月3日
合格発表を終えて大学生になろうとしていたころ。なんでかよくわからないけど、ぼろアパートというものに憧れていたふしがあった。階段をかんかんと音をたてながら登っていき、通路の奥にあたる角部屋のドアを開ける。少々たてつけが悪くなっていて軽くキックしながら鍵をまわさないとドアは開かない。木造のゆうに20年はこえているアパートだけど、間取りはけっこう広くて台所もしっかりとある上に家賃もそれなりに安い。そんなアパート生活を夢見ていた。

そして、幸か不幸か理想どおりのアパートがみつかってしまった。大学生協のアパート斡旋コーナー目指して岡山から横浜まで一人新幹線にのったあの日。なかなかよさげなアパートをみつけ不動産屋に連絡をとってもらった横浜での一人暮らしに胸をときめかせていた自分。待てども待てども不動産屋はやってこず、やがて生協も閉まろうかというころにやってきた不動産屋のはげ親父。ずいぶんと待った割にはかなりしょぼかったアパート。どうしても納得できなくて、はげ親父の口車にのってたまるものかとそこは断るも、日も落ちゆくなかどうしたものかと途方にくれた横浜の地よ。

それから横浜駅までいって電話ボックスに入ってタウンページでビジネスホテルに電話して。地図が書いてあったそのページを引き破ったもののなかなかたどりつけなくて。いかがわしいお店の前をどうしても通れなくてかなり遠回りしたり。朝起きてうどん屋にいったらあまりにまずくってほとんど残して再び大学へ。

後期試験

そう書いてあった看板。列を作る受験生。前期試験の時にもいた電報屋のうさんくさいあんちゃん。それにひっかかていた気の毒な受験生たち。閉まっていた生協。またも途方にくれる自分。

しばらくしてはらはらどきどきしつつも不動産屋をみつけて勇気をしぼって「あの〜部屋を探してるんですけど」たったそれだけのことなんだけど、どうしようもなく緊張した。そうしてみつけたアパートは見た目はぱっとしなかったのに中にはいるととても広くて。速攻で決めた自分に不動産屋のお姉さんは「ほんとにここでいいのね?」と心配そうに聞いてたな。

そうして決めたアパート。どんなに清潔にして天井伝いに隣からやってくるゴキブリ。毎晩響きわたる一階の住人のいびき。週末になると皿の割れる音とともに絶叫しながら恋人と喧嘩する一部屋むこうのOL。色々ありながらも過ごした2年間。

そして今。軽量鉄骨でユニットバスでちっさな台所しかないふつうのアパート。あぁ満足。普通がいちばんこのうえなし。

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